【太極拳】
太極拳のルーツは300年前、明代と言われています。太極拳にはいろいろな種類/流派があり13億の民の歴史的文化遺産として、掘り起こすとそれこそ無限の種類が有るといえます。今回は、3大套路といわれるものについてお話ししましょう。太極拳の動きの特徴は柔穏自然、連綿不断、動中求静、自己をコントロールし、動作を導くことに重点がおかれ、人々はこれを内家拳とも称している。例えれば太極拳の動きは柔らかく穏やかな抒情曲、まさにアダージョカラヤンのごとく、それはきめ細かくしとやか、内なる感情を表現して精神と形を自然になめらかにしていきます。
【太極拳五大流派】
(太極拳は、いくつかの流派に別れています。古い順に配列。)
■陳式太極拳
<1650年頃>陳王廷(陳氏第9世)によって創造された
■楊式太極拳
<1800年頃>陳長興(陳氏第14世)から太極拳を学んだ楊露禅によって始められた
■武式太極拳
<1850年頃>楊露禅・陳清平(陳氏第15世)から太極拳を学んだ武 禹襄によって始められた
■呉式太極拳
<1900年頃>楊露禅・楊班侯から太極拳を学んだ全佑の子、呉鑑泉によって始められた
■孫式太極拳
<1910年頃>武 禹襄の孫弟子(赤β)為真から太極拳を学んだ孫 禄堂によって始められた
その他の太極拳流派(現在では、五大流派以外に興隆してきた流派があります。)
【太極拳経】
王宗岳
太極者、無極而生、動静之機、陰陽之母也。
動之則分、静之則合。無過不及、随曲就伸。
人剛我柔謂之「走」、我順人背謂之「黏」。
動急則急應、動緩則緩随。雖變化萬端、而理唯一貫。
由着熟而漸悟[小菫]勁、由[小菫]勁而階及神明。
然非用力之久、不能豁然貫通焉!
虚領頂勁、気沈丹田、不偏不倚、忽隠忽現。
左重則左虚、右重則右杳。仰之則彌高、俯之則彌深、
進之則愈長。退之則愈促、一羽不能加、蠅蟲不能落。
人不知我、我獨知人。英雄所向無敵、蓋皆由此而久也!
斯技旁門甚多、雖勢有區別、概不外壮欺弱、
慢讓快耳!有力打無力、手慢讓手快、
是皆先天自然之能、非關學力而有為也!
察「四兩撥千斤」之句、顯非力勝;觀耄耄能禦衆之形、
快何能為?
立如平準、活似車輪。偏沈則随、雙重則滞。
毎見數年純功、不能運化者、率皆自為人制、雙重之病未悟耳!
欲避此病、須知陰陽:黏則是走、走則是黏;
陰不離陽、陽不離陰;陰陽相済、方為[小菫]勁。
[小菫]勁後愈練愈精、黙識揣摩、漸至從心所欲。
本是「捨己從人」、多誤「捨近求遠」。所謂「差之毫釐、謬之千里」、
學者不可不祥辧焉!是為論。

【解説】
太極は無極より生じる。それは、動(作)静(止)の機(きっかけ)であり、陰陽の母(原因)である。
太極は、既に存在しているものであり、無い物から発生するのではない。動作静止の間を引き分ける、引き金のような作用である。
という解説から始り、この中で「双重」「トウ勁」「勁力」について非常に的確に述べられております。(本文中[小菫]はトウ勁のトウ)この文章を読み下す上でとても大切な事は、具体的に噛み砕き、実際の自分の練習に当てはめる事です。
「四兩撥千斤」という言葉もただの喩えにしてしまっては、何の意味もありません。自分の練習においても「四兩撥千斤」の練習をしなくてはいけないのです。『動之則分、静之則合』。と言っても動くと何が分かれるのか?静まると何が合わさるのか?ここの所を具体的に読み下せない限り一番最初の「太極」「無極」とは何かなど到底想像も出来ず、最後は『多誤「捨近求遠」。所謂「差之毫釐、謬之千里」』という事に成って
しまいます。我陳氏会では、こういう観点から学習をスタートし、何が太極拳で何が
太極拳でないのかをはっきり学んでおります。
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